CURRENT
*揺れる波のように
【1】
家に帰ってから、ふとした瞬間に何度も思い出す。
少しだけ唇が触れた程度なのに、、何度も思い出してしまう。
そのたびに、頭を振っておいやるけど、同じことを繰り返す。
そのおかげで、なかなか眠ることが出来なかった。
朝は朝で、どういう顔で逢えばいいのか分からず、気が重たかった。
正直、顔を合わせるのが嫌だった。
けど、同じ部署だ。
顔を合わせないなんて無理な話しだ。
行った時は、彼女たちが群がっているからいいだろうけど、仕事が始まれば嫌でも顔を合わせる。
本当に、休みたかった。
「あ、矢島さんっ。
昨日の書類、午前中のところでお願い出来る?」
席に着くなり、彼女たちが群がっているのにも関わらず、大声で話しかけられる。
そんなにすぐに話しかけられるとは思っていなくて、私は返事よりも驚きが先に来た。