CURRENT
「矢島さん?」
「……え?あ、はい、分かりました」
もう1度名前を呼ばれて、我に返った。
結局、彼は普通だったのだ。
昨日のことが嘘だったかののように。
なんだか、私1人で意識しているみたいでバカじゃないか。
やっぱり、彼にとっては気まぐれなんだ。
昔の知り合いがいて、からかってみようと思っただけなんだ。
本気として受け取って、悩んで損した。
そもそも、私にちょっかいかけなくても、今はハーレム状態。
選びたい放題なんだ。
そこら辺の子なら、いつでも相手してくれるはずだし。
私を相手にする必要はないはず。
「梨沙先輩、何か悩みごとでもあるんですか?」
さっきのやり取りを見ていたであろう菜月が、急にそんなことを言う。