CURRENT



「え?どうして?」



言葉の意味が分からなくて、首を傾げる。



「さっきからずっと、眉間にシワ寄せてますから」


「え、本当?」



そう指摘されて、自分の眉間を指で押さえる。

顔に出ているつもりもなければ、そんなに深く考え込んだ覚えもない。



「別に、悩みなんてないよ。大丈夫」



さすがに昨日のことは誰にも言えないけど、悩む必要はないと分かったから。

そもそも、悩むんじゃない。

怒りに震えるべきだ。

勝手に人の唇を奪ったんだから。

彼氏でも、ましてや好きでもない相手に。

そう思うと、ヘラヘラ彼女たちに笑う彼に腹がたってくる。

今も質問しているんだか、世間話しているんだか、笑っている。




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