CURRENT



気にしているつもりはないのだけど、どうしても視線は彼をとらえてしまう。

笑顔で話している彼を、じっと見てしまう。

それも、無意識のうちに。

それに気づいては首を振る。

見る必要もないし、気にする必要もない。

頭では分かっているはずなのに。



「中山課長ー!今日こそ、飲みに行きましょうよー」



大きな声でそんな言葉が聞こえた。

ちなみに、今は仕事中。

ランチの時間でも、休憩時間でもない。

周りも話したりもしているけど、だいたいが仕事の話し。

そもそも近くで話しているため、そんなに声は大きくない。

今のは、誰もが振り返るような大声だ。

そして、この言葉は最近よく聞くものだ。

ずっと、この子に誘われているけど、なぜか上手く断っている。

毎日毎日うるさいから、行けばいいのに。

なぜ、断るのだろうか。




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