CURRENT
その上、今日に限って誘いに乗るとか。
このやり取りにあきたのだろうか。
それとも、その子に堕ちてしまったとか。
……イヤ、それはないか。
菜月が言っていた彼の目は、笑っていない。
それには気づかず、彼女はほんのり頬を染めて喜んでいる。
あれでいいんだ。
見えてなさすぎじゃないだろうか。
「とうとう今日、中山課長を手中に収めるつもりですかね?」
さっきのやり取りを見ていたみたいで、菜月がそんなことを言う。
「どういうこと?」
「今朝、トイレでメイクを完璧にしていたんですよ。
その中であの子が、中山課長を絶対堕とす!って宣言していたんです。
あたし、笑いをこらえるのに必死で」
本当に楽しそうにそんなことを言う。