CURRENT
「なんだ。梨沙は妬いているんじゃねぇの?」
少し小声でそんなことを言う。
妬いているという言葉より、名前で呼ばれたことに驚いた。
別れたあと、一切名前なんて呼ばれなかったのに、今更どうしてだろう。
「今更取られるのはおしいよな。
牽制しとかねぇと」
ぼそりと呟いた言葉の意味が、全然分からない。
「きゃあっ」
そう思ったとたん、急に抱きつかれた。
「ちょ、ちょっと、何してんのよっ」
慌てて離れようとするが、離れてくれない。
「大丈夫だって。酔ってのじゃれあいだって思われるから」
「それでよしとする訳ないでしょっ」
「それより、あの時みたいに圭って呼ばねえ?」
「は?何、言ってんの?」