CURRENT
でも、気持ち悪い。
吐きたいけど吐けない。
それでも、少しトイレに行って酔いを冷まそうと立ち上がった。
「あ、危ないっ!」
瞬間、ふらついた。
大きな声と共に差し出された菜月の手を掴む前に、他の誰かに腕を掴まれた。
「危ねぇなぁ。お前、飲みすぎだわ」
その声を聞いたとたん、頭が正常に動く。
さっきまであの子と楽しそうにしていたはずなのに、なぜここにいるのか。
「は、離して下さいっ」
「1人で立てないくせに。ここは甘えてろ」
なんとか振り絞って放った言葉も、彼の前では無意味だった。
離すどころか、私の腰に手をやり、抱き寄せる。
離れようともがきたいところだけど、酔っている私はもう手も足も出ない。