CURRENT
彼の言う通り、1人で立っていることも出来ない。
「悪いけど、コイツ連れて帰るよ」
彼が隣にいた菜月に向かって言っている。
私は、ただそれをぼんやり見ているだけ。
「中山課長、いいんですか?本性出してますけど」
「あんたは、コイツに信頼されているみたいだし。
何より、ごまかしはきかねぇみたいだしな」
「よく、分かっていることで。
ところで、あの子はどうしたんですか?」
「どっか行ったから、その隙に離れてきた」
「あはは。課長もうんざりしていますね」
「あんなヤツに好かれても、嬉しくはない」
菜月と彼の会話を聞いているはずなのに、頭には入っていない。
何より、眠たくて……。
「ところで、梨沙にちょっかいかけていたヤツ、何?」