CURRENT
「ちっ。うるせーのが帰って来たな」
「これで噂になるのは必須ですけど、早く帰った方がいいですよ。コレ、先輩の荷物です」
菜月と中山課長が話している間にも、沖田陽子は2人に向かってきた。
「ごめんなさい。僕は帰りますので」
沖田陽子が来たとたん、中山課長の口調は変わった。
「えー、なんでですかぁ?まだ、いいじゃないですかぁ」
「矢島さんが酔ったみたいで、1人では帰れませんから」
「それは、菜月センパイに頼めばいいんですよぉ」
何を言っても引き下がらない彼女に、強引に課長は突破する。
彼女の目の前で、眠る梨沙を抱き上げたのだ。
それに驚いた沖田陽子は、ボー然としている。
周りからは、キャーッと悲鳴が聞こえる。