CURRENT
「すみません。あと、お願いします」
梨沙を抱いたまま、部長に言った。
「気を付けて帰りなよ。…………ほどほどに、な」
部長の言葉に頷くと、そのままその場をあとにする。
部屋を出る寸前、島村と目が合った。
不機嫌オーラ全開で睨み付けていた。
中山課長は、何一つ表情を変えることなく通りすぎる。
課長が通りすぎたあと、島村は悔しそうに自分の手を強く握りしめる。
直後に、はっとして急いで店の外へ出る。
目の前で、課長と梨沙がタクシーに乗って通りすぎて行った。
「あのやろう……」
そのタクシーが去った先を睨み付けながら呟いた。