CURRENT
そこまで考えて、ふと思い出した。
今、何時?
今日、平日のはず。
仕事のはずだ。
近くのテーブルに鞄が置いてあった。
その中から携帯を探して、時間を確認する。
どうやら、朝の6時になるとこらしい。
まだ余裕があることにほっとした。
「何か音がすると思ったら、起きていたのか」
急にそんな声がして、全身がビクッと震えた。
それと同時に、心臓がバクバクいっている。
なぜ、彼の声がするのか。
イヤ、似た人かもしれない。
そんな訳の分からないことを思いながら、声のする方を向く。
「…………中山、課長……」
似た人でも、気のせいでもなく、まぎれもなく彼本人だった。