CURRENT
「そ、そんなことより私はなぜ、ここにいるんでしょうか……?」
なんとか離れて欲しくて、ずっと疑問に思っていたことを聞く。
彼がいるということは、間違いなくここは彼の家だ。
場所は分かったけど、なぜここにいるのかは分からない。
昨日の記憶がないのも不安だし。
「やっぱり、覚えてねぇのか」
ようやく離れた手にほっとしながらも頷く。
「お前、飲むペース早くて、俺が止めたけど遅かったな。
そのあと、すぐに寝たんだよ」
「えっ、寝たんですか?」
「そう。お前んち知らねぇし、とりあえず俺んちに連れて帰ったんだよ」
寝てしまったから、記憶がないんだ。
だけど、何でこの人が連れて帰るんだ。
その時、菜月はどうしていたんだ。
黙って見ていたとでも言うのか。