スキorキライ
僕の好きな人
~健二side~

僕は気づいてしまった。
入学式から美咲ちゃんに感じる気持ちの正体に。

この、美咲ちゃんの姿を見かけたり、ちょっと話したりするくらいでドキドキして、美咲ちゃんが他の男と喋っているだけで腹の底が熱くなってもやもやする気持ち。

正体は恋だ。

僕の初恋は吉川美咲だった。


そのことに気づいてから僕は、ますます美咲ちゃんを特別視するようになった。

もともと、女子に悪口を言われていた僕を苛めてこない、数少ない女の子だったから。

いつも気にかけて優しくしていたけど、好きだと気づいてからは彼女が問題に気づく前に、その問題を解決するようになった。

彼女は美少女ゆえに妬まれやすいので、彼女の物が隠されたり、盗られたりしていないか確認した。
その現場を目撃したら強く注意した。

彼女の机に落書きがされていたら、彼女を苛める女子を調べて特定し、机を取り替えている。

だから僕は、いつも朝早くに登校している。
落書きを美咲ちゃんの目に入れたくないし、誰もいないときに机を取り替えなければならないからだ。

他にも色々あるが、きりがないのでこれくらいにしておこう。

まあ、僕は恋していると気づけても、自分からアプローチできないことに変わりはない。





< 1 / 11 >

この作品をシェア

pagetop