スキorキライ

私の日常

～美咲side～

「あんた、ムカつくんだけど」
「最近調子乗りすぎじゃない？」
「そーそー、ウザいよ？」

私は貴女たちに興味なんてないし、話したことなんてありません。

私は、私を苛める人たちに、そう言ってやりたかった。

でも、下手に歯向かうとさらにいじめがひどくなるのは私でもわかる。

だから、こうしてじっと耐えて、この人たちの言いなりになるしかないのだ。

「そういえば、あんた翔子ちゃんの彼氏とったんだって？」
「マジで！？サイテー」

リーダー格の人が問い詰める。
翔子ちゃんの彼氏、佐藤君だっけ？
いつも大声で自慢してるから知ってます。
あの人自分から私に告白してきたよ？
というか、私ちゃんと断ったし…。

「ふえぇ……。吉川さんひどいよぉ……」

翔子ちゃんが泣いている。
正直言って、見苦しい。

「ほら！翔子泣いちゃったじゃない！」
「かわいそう…。翔子、大丈夫？」
「ぅん…だいじょぉぶ…」

そんな、かかわったこともない人の泣き顔見せつけられても…。

「ねえ、あんたも黙ってないでなんか言いなさいよっ」
「キャッ」

リーダー格の女が叫び、私を突き飛ばした。
私はその衝撃で、尻餅をついてしまった。

「ふふ…。いい気味。ほら、何とか言いなさいよ！」
「……佐藤君は、自分から私に告白してきて…」

仕方ないので、正直に言う。

「そんなわけないでしょ！ていうか、お前自分の顔見たことあんの？」
「そーそー、超絶ブスよねー」
「翔子ちゃんのほうが百倍かわいいよ！」

え…告白してきたのは事実なんだからブスとか関係ないですよね…？

「キャハハハ！何その顔、ブスがさらにブスになった！」
「ほら、嘘言ってないでほんとのこと言えよ、ブス！」

リーダー格の女が私を蹴ろうと、足を振り上げる。
蹴られる―――

「ちょっと、何やってんの」

教室のドアから声がした。

海野 健二君だった。
同じクラスの、あまり目立たないけど真面目で意外と格好いい男子生徒。

「え…？あ、貴方は関係ないじゃない！」

いじめっ子たちは目に見えて動揺する。

「そんな人たちほっといて、行こうよ。美咲ちゃん」

「え…？あ、ありがとう」

「ちょっと、待ちなさいよ！」

いじめっ子たちが必至の形相で追いかけてくるけど、私は健二君に強く手を引かれ、逃げる。

健二君、助けてくれてありがとう。