初めましてこんにちは、離婚してください 新装版
抗えない現実と嫉妬
もしかして毎日花をくれるつもりなんだろうか……。
出社する高嶺を送り出し、夕方やってきたフラワーショップから花のアレンジメントを受け取り、リビングに飾る。
二日目の今日はヒヤシンスにピンクのバラの可愛らしいアレンジメントである。
しかも高嶺曰く「花屋任せでなく、ちゃんとこの目で莉央に贈る花を決めている」ということだった。
ちなみに初日の昨日もらった花は、抱えきれないほど大きなチューリップの花束で、花瓶もなく困り果てたのだが、夜に百貨店の外商担当がガラスの花瓶を持ってきてくれてことなきを得た。
そもそも、なぜこうなったかというと、高嶺に「何が好きなのか」と尋ねられたからだ。
犬が好きと言えば今頃この部屋に犬がいたに違いない。
リビングが花で埋もれるのも時間の問題だ。
部屋いっぱいの花に囲まれたら、いったいどんな画が描けるだろう?
どこかでやめてもらわないといけない贅沢だとわかっているが、ワクワクする気持ちは抑えられなかった。
(だからって、高嶺に感謝するわけではないけど……!)
誰が見ているわけでもないのに、そんな言い訳を自分にしてしまう莉央である。