初めましてこんにちは、離婚してください 新装版

 少し恥ずかしそうに笑いながら、莉央はキッチンでコーヒーを淹れ、ソファでゆったりとタブレットを見ている高嶺にコーヒーを運んだ。


「どうぞ」
「ありがとう」


 タブレットを真剣な様子で眺める高嶺の隣に座り、コーヒーを飲む彼の横顔を見上げる。


(でも、やっと二人きりになれたんだもの。嬉しいな。)


 ちなみに高嶺はもちろん有給休暇中。天宮からもぎ取った有給休暇は一週間なので、残り二日でようやく二人の時間を過ごせることになる。

 高嶺はとしては、過去十年、一度も使ったことがなかったので、数ヶ月レベルで取得するつもりだったらしいのだが、株主総会前にそれはやめてくれと天宮に泣きつかれた莉央に止められて、とりあえず一週間ということになった。


「よし」


 高嶺はタブレットのケースをパタンと閉じて、コーヒーを飲み、隣に座る莉央の額に唇を寄せた。



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