おなかすいてるならチョコあげる
クラスメイトの女子たちは良い子ばかりだから、お弁当を一緒に食べてくれたりする。ときどき話しかけてくれる。
男子とは喋らない。
あっちも私なんかには興味すら湧かないだろうし、全く眼中にないのがわかる。
それが、私の日々。
私のまいにち。
でもひとりだけ、どうしても仲良くなりたい男子がいる。
私の、好きなひと。
本命チョコレートの、宛先。
...もう、教室に来てるかな。
『彼女』と、一緒に。
「おい」
ドアの前で、教室に入るのを少しばかり躊躇っていたら。
低くてぶっきらぼうな声が、私の耳に届いた。
びっくりして、振り返る。
不機嫌そうな顔をした西山くんが、私を見下ろしていた。