同期がオトコに変わるとき
色気だだ漏れの彼にコクられて、落ちない女子はそうそういないだろうから。
私のささやかな夢『ごめーん、彼と約束があるの(ハート付)』が霧のように散っていく・・・。
そうだ、お見合い相手は見つけてもらえたのだろうか。
あの翌日に電話しておいたのに、全然音沙汰がない。
家に帰ったら早速実家に電話してみようと決め、そのあとの業務を速やかにこなした。
アパートに戻って荷物を置くのもそこそこにして、スマホを取り出す。
番号表示は母のスマホだ。
1か月前にスマホデビューしたとうれしそうに語っていた母の性格ならば、料理中だろうと何だろうと肌身離さず持っているはず。
「もしもし、お母さん真奈美です。今いい?」
『いいけど料理中だから手短にね、なに?』
「この間頼んだお見合い相手のことだけど、見つかった?」
『それが、まだなのよー。だって真奈美の条件がキツイんだから、いくら百戦錬磨の仲介人さんだってなかなか見つけられないのよ』
「え、キツイって言っても、年齢が上下3歳差までで、お勤めが私と同県の人ってだけじゃないの」
なにもイケメンでなければダメとか背の高い人がいいとか、外見の条件を言ったわけではないのにどこがキツイというのだろうか。
『それが両方キツイのよ。3歳差っていったら25から31歳まででしょう。その歳でお見合いをしようという男性はなかなかいないらしいのよ。しかもそっちの地区だなんて、テリトリー外だから余計に難しくて。条件に合えば誰でもいいってわけではないし、妙な事情のある人だったら真奈美も嫌でしょう』
「それは、そうだけど・・・」