同期がオトコに変わるとき
「藤崎・・・見合い、したのか?」
「へ?そのことなの?まだ相手が見つからないの。だから探してもらってる最中。でも新たな方法を見つけたから、今度試してみるつもり。真辺こそどうなの?噂聞いたよ。気になる子ができたんだって?」
近すぎる真辺の胸の辺りを押して、何とか離す努力をする。
一生懸命押してると、塀についていた手を放して少し離れてくれた。
「・・・聞いたのか。真田だな」
「うん。その彼女の大山さんから聞いた。この間の飲みで私が言ったこと分かってくれて、実行してくれてるんだなーって、ちょっとうれしくなった」
「まあ、藤崎に言われたのもあるが、俺もそろそろ本気になろうと思っていたんだ。藤崎の言葉はきっかけに過ぎない」
「そうなの?でも好きな子見つけるの早かったね」
「本当は前からずっと気になっていて、少しずつアプローチはしていた。でもなかなか気付いてくれなくてな、かなり手強い」
「え、トップセールスの真辺でも苦戦してるの?というか、恋に営業は関係ないか。でもちっとも気づかないなんて、真辺のアプローチの仕方が下手なんじゃないの?今までコクられてばっかりだったから、コクり方知らないんでしょ」
「そんなことねーよ。超絶鈍感なだけだ。ところで藤崎は今度の日曜暇か?」
「今のところは、なにも予定はないけど」
「じゃあ、俺の部屋に来いよ」