同期がオトコに変わるとき
「え!?私が真辺の部屋に?なんで?」
「なんでって・・・手伝ってほしいことがあるからだよ。朝9時A駅に迎えに行くから待っとけ。分かったな」
私の返事も訊かずに、真辺は一方的に決めてスタスタと歩いていってしまった。
手伝ってほしいこと?
一体何だろうか。
ぼーっと考えていると始業前の音楽が鳴り始めていて、慌ててエントランスに向かう。
連れ込まれた場所はかなり遠く、全力で走る。
もうっ、遅刻したら真辺の責任だ!
滑り込むように押したタイムカードは始業1分前で、ホッと胸をなでおろした。
走ったせいでずれたメガネを直して息を整え、業務に勤しんだ。
そして一週間が瞬くうちに過ぎた日曜日の9時少し前、私はA駅のロータリーに立っている。
真辺は動きやすい格好で来いと言っていたからカットソーにジーンズのスタイルだ。
約束の9時になったころ、白い車がロータリーに入ってきて私の前で停まった。
助手席側の窓がスーッと開いて真辺が「乗れ」と言うので、素直に助手席に座る。
「手伝ってほしいことって、何?」
「片付け」
「へ?片付け?」
車は綺麗なマンションの駐車場に停まり、連れてこられた部屋には未開封の段ボール箱がたくさん置かれていた。
どうやら引っ越したばかりのようだ
「ここ、新築?匂いが新しいね。それに広いね?」
「そうか?1LDKだぞ。ま、その気になりゃ、ふたりで暮らすこともできるがな」
「そうだよね、リビングも部屋も広いもの。ふたりくらいは余裕だよね」