同期がオトコに変わるとき

リビング部分だけでも12畳くらいありそうだ。

部屋の方も10畳はありそう。

ひとりで暮らすには広すぎる気がする。

もしかして、彼女ができたら一緒に暮らすつもりで引っ越しをしたのだろうか。

真辺が今度するのは本気の恋だもの、結婚前提という考えもある。


「わあ、眺めもいいじゃない」


リビングの窓からは何も遮るものがなく、かなり遠くの方まで見渡せる。


「あ、あれは総合公園じゃない?夏の花火大会もここからならきっと見えるね!」


つい、子供みたいにはしゃいだ声を出してしまう。

毎年、ドーン!という低音だけ聞こえる私の安アパートとは雲泥の差だ。

こんなところは家賃も高そうだなどと、所帯染みたことを思ってしまう。


「藤崎」


すぐ後ろからささやきかけるような声が聞こえて体温も感じ、はからずもゾクゾクと震えて首をすくめる。

そっと振り返ると真辺が至近距離にいた。

ふっと笑いかけてくる顔は妖艶で、瞳が潤んでいるようにも見える。


「・・・藤崎?」


飲みの時ならともかく、真昼間からそんな色気を出さないでほしい。

不覚にもドキドキしてしまい、後ずさりをしつつ「何?」と訊くと踵が窓のさんに触れた。

真辺の腕がすっと伸びてきて、また退路を阻まれると思った瞬間、背後の窓がカラカラと開けられた。

ひんやりとした風がひゅうっと部屋の中に入る。


「・・・今日は何をしに来たんだ?見物か?」

「いえ、お手伝いです」


しかも、有無を聞かれることなく決められた強制的な。


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