同期がオトコに変わるとき
「先週って、彼女ができたって聞いてからまだ2週間しか経ってないじゃない。真辺は冷たすぎるんだよ。仕事ばっかりしてないで、彼女にはもっと優しくしないと駄目だよ」
「生憎だけど俺は仕事優先なの。仕事があってこそ生活が成り立つんだろ。こうして藤崎と酒が飲めるのも、給料があってのことだ。だから女は二番め。LINEの既読無視くらいで怒るとか、有り得んだろ」
既読無視・・・付き合いたてなのに、そんなことをしたのか。
彼女としてはさぞかしショックだろうに。
「でも、LINEくらいすぐに返事できるでしょ?ちょっと指を動かすだけじゃない」
「でもな、藤崎。残業中にあった『今日髪切ったの~』って報告に、俺はどう反応すりゃいいんだよ。こっちは仕事中だぜ?『ふーん』とか『それがどうした』と返せばそれはそれで怒るだろう」
「それは、そうだけど。でも既読無視よりはマシかもよ」
「マシか・・・藤崎なら、どう返してほしい?」
珍しくも私に訊いてくるから、ちょっと戸惑ってしまう。
自分から意見を言うことはあっても、真辺に女としての意見を訊かれるのはこれが初めてと言ってもいい。
私?と訊くと、真辺は真顔で頷いた。
「・・・えっと、そうだね。例えば『明日会うの楽しみにしてる』とか『どのくらい切ったの?』とか、返してもらったらベストかな。会話が続くし、特に“楽しみにしてる”って言われたら、すごくうれしいかも」