同期がオトコに変わるとき
社内で偶然見かけると目で追ってしまう自分がいて、イケナイイケナイと一生懸命自分を律している。
彼はただの飲み友達で『抱ける程度には好き』とか『来る者は拒まず』とか『女は二番目』とか、彼女に冷たくて鬼畜な男なのだ。
昼間っから色気だだ漏れの男なんて、好きになったら大やけどをする。
ただの友人として付き合うのなら、さっぱりとした性格で一緒にいると楽しいからいいのだけど、彼氏候補にするには危険すぎるのだ。
そうだ、私はアラサーで今から付き合う人にはどうしても「結婚」の二文字が浮かぶのだから、ここはやっぱり堅実で一途な人を選ばないといけない。
それに真辺にとって私は男友達と変わりがないのだから、好きになっても不毛なのだ。
もしも女としてみているのなら、5年もの間何も言ってこないのはおかしいもの。
あのとき車の中で『行くな』なんて言ったのも、貴重な飲み友達を失うのがイヤだからだと思うのだ。
第一、彼には『気になる人』がいるのだから。
「ね、好きになっちゃダメって、ウサギ君もそう思うよね?」
ものを言わぬぬいぐるみに同意を求めていると、スマホが着信音を鳴らした。
お母さんからだ・・・もしかして、お見合いの進展があったのだろうか。
「はい、真奈美です」