同期がオトコに変わるとき


ピンク・レディという名のカクテルは、グラスの中の白とピンクのグラデーションがとても綺麗で可愛い。

白は卵白が泡立ったものらしく、見た目がふんわりして雲みたいだ。

それに、グラスの下には赤いガーベラが一輪添えられている。


「可愛い」


長く飲み友達として付き合っているけれど、いつもこんなふうな気遣いをされるからうれしい。

見た目だけでなく、時々見せるこんなところにも女は参ってしまうのかもしれない。


振られたばかりのこの男、真辺拓哉はすごくモテるのだ。

同期入社で知り合ってから5年経っているけれど、私が知っているだけでも付き合った子は両手じゃ足りないくらいいる。

来る者は拒まずなところがあり、絶えず彼女がいて、そのどれもが三ヶ月と持っていない。

今回なんて最短記録更新だ。

毎回振られて終わるのは、何より仕事優先の冷たい性格だからだ。

振られる理由が同じだから自覚してると思うんだけど、改善しようとしないのはどうしてなのだろうか。


「ねえ、今まで一回も訊いたことがないけど・・・真辺はさあ、今まで付き合ってきた彼女のこと好きじゃなかったの?」

「好きだったかと訊かれれば、そうだな・・・“抱ける程度には好きだった”と答える」

「え?」


だ、抱ける程度!?って、それだけ・・・?

それって本当に、来る者は拒まずってことだ。

愛情はないっていうか・・・真辺は本気で人を好きになったことがないのだろうか。

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