同期がオトコに変わるとき
「そんな気持ちで付き合っていたの?なんとも思ってないなら、断ればいいのに」
「コクられれば悪い気はしないから、まずは付き合ってみる。そうすりゃ相手の性格も相性もよく分かるだろ?そのうち心底好きになるかもしれんしな」
声も出せずに口を開けたまま真辺の顔を見る。
カウンターに肘を預けて頬杖をついて私を見つめてくる瞳は、BARの暗めの照明も相まって反則的に色っぽい。
言ってることは最低なのに、目だけで誘われてる気がして心臓がトクンと鳴った。
いやいや真辺にそんな気はない。
こんな色気に騙されては駄目だ。
こいつは鬼畜な最低男なのだから、友達ならばともかく彼氏なんてもってのほかだ。
「俺の話はおしまい。で、藤崎は最近どうなんだよ。そろそろオトコできたか?」
真辺はタバコに火をつけて煙をくゆらせた。
指の間から立ち上る紫煙の行方を追いつつ、飲むたびに訊かれることだなーとぼんやり思う。
「うーん、全然駄目。合コンに行ってもピンとこないの。だから、お見合いしてみようかなぁって思ってる」
「見合い?藤崎が?いつ」
「いつするのかは、まだ未定。でも母親から、してみたら?って言われてるんだ。ああいうのって、出自がはっきりしてるから安心して会えるじゃない。仲介人もいるから断りやすいし、合コンよりも率がいいと思うんだ」
「ふーん・・・藤崎は結婚したいのか?」