同期がオトコに変わるとき


私も、鬼畜真辺とどうにかなろうなんて気持ちはない。

そりゃあ知り合ったばかりの頃は少しだけ期待があったけれど、5年もの間手を出してこないのは、彼にとって私は男友達と変わりがないのだろうと悟ったのだ。

彼のそばにはいつも、自分に自信がある系の綺麗な子がいて、事実別れたばかりの彼女は私たちの2年後輩で社内でも1、2を争うほどに美人な子だ。

その前の彼女は取引先の会社の子で、見せてもらった写メは人気のグラビアアイドルによく似ていた。

彼はそんな子ばかりを相手にしているのだ。


窓の外で「おやすみ」と手を上げる真辺に笑顔を返す。

また明日、か・・・。

私はいつまで、こうして真辺と飲めるのだろうか。

彼の話は面白いし、いつも雰囲気のいいお店に連れていってくれる。

誘ってくれればうれしいから、ついYESと返事をしてしまう。

けれどそれも、私に彼ができたら止めなくてはいけない。

それに真辺が本気の恋をしたら、誘ってくれなくなるだろう。

私に彼ができるのが先か、真辺が本気の恋をするのが先か。

これはぜひとも、私が先でありたい。

突然の『今夜飲みに行かねえ?』に『ごめーん。今日は彼と約束があるの』と返すのが当面の夢だ。

我ながらにしょぼい夢だと思うけれど、私の夜はいつでも空いていると思い込んでいる鬼畜真辺を見返してやりたい。

めらめらと謎のやる気が満ちてきて、明日にでも電話して見合い相手を探してもらおうと決めた。

< 7 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop