死にたがり姫と王子様。
死にたがり姫
・・・・王子様、また来てくださったのね
自室のベッドで本を読んでいると
来客を告げるインターフォンが鳴った
こんな森の奥の、高い塔の上まで足を運んでくる物好きは、
小動物と、あの王子様くらいなものだろう
一人で寂しいから、話し相手がいることはありがたい。
でも、ありがたくても、すこし迷惑なところもある
どうして、使いをよこさないのかしら
王子様自らに出向いてもらっては、きっぱりと断ることができない
ため息をついてしまう
それでも、玄関へ迎えにいかなくては
王子様を待たせてはいけない
急いで栞をはさんで本を閉じ、玄関へと。
だるい足を動かす
最近、いっそう動かなくなってきた足
死は、間近だと考えさせられる
いつからだっただろうか
王子様が、ここを訪れるようになったのは
いつからだっただろうか
私が、王子様を好きになったのは
そっけない態度をとるのは、王子様に嫌われるため
もう、求婚なんてしてこないでよ
その想いには、答えられないの
王子様が真実に気づいてしまう前に
はやく、死ななくては。