死にたがり姫と王子様。
王子様は私を見るなり、驚いた顔をした
「大丈夫!?顔色が優れないようですよ?」
『今日はそこまで悪くありません
お薬もちゃんと飲んでいます』
心配されるのは嬉しい
でも、病気を治す薬だと偽って飲んでいる毒のことを考えると、心苦しい
・・・でも、病気を治す薬で間違ってはいないはずだ
「あまり無理はしないでください
ああやはり、共に城で暮らしましょうよ!
ここでは貴女の病状が悪化してもわからない」
いつもと同じ提案は、いつもどおりやんわりと断った
私は、寒くて暗い、薄汚い塔がお似合いなんだから
私は、誰にも知られずに、この塔で死ななければならない
だって私は、そういう運命の下に生まれてきたんだから
だるい体にむち打ち、なんとか笑顔で対応し、
王子様との会話を楽しみながらも悲しんだ
やはり、これ以上生きているのは危険だ
その夜、私は、いつものように延命を考えることをせず
致死量の毒を飲んだ
王子様には、嫌われたくないから
王子様が、大好きだから
私は真実をひた隠し、暗くて寒い、ベッドの上で
幸せな来世を夢見て、死んだ。