キミのバスケを守りたい
「「……ありがとうございました」」
母さんは処置室のドアをゆっくり閉めた。
痛む膝に負担を掛けないように気を付けながら少しずつ歩みを進める。
俺は、またバスケをできなくなってしまった。
自分からバスケを取ったら、他に何ができるんだと考える。
勉強も人並みにしかできないし
他に夢中になったものもないし
「……あるわけない」
だって、今までバスケしかやって来なかったんだから。
俺はバスケを取ったら能無しの人間なんだ。
もうそんな自分を知ってしまったら、何で生きているのかさえ分からなくなった。