キミのバスケを守りたい



次の試合の第一クォーターが始まる前に、わたしはこそっと小さな声で望月くんに声を掛けた。



「望月くん、膝大丈夫?」



すると、望月くんはみんなに聞こえないようにわざとボールを床につきながら



「あぁ、全然平気だから。



今日のチャンスはこの先に繋がる大きなチャンスだからな。



この弱気になる膝のことばっかり考えてらんねぇよ。



早瀬こそ俺のプレー見てびびんなよ?」



と悪戯な笑みを浮かべて言った。



そう言い切る望月くんの表情は自信で満ち溢れていて



『昔はできたよ。



けど、俺はもう一生バスケはできない』



と右膝を見て言っていた弱気でネガティブにしか考えられなかった彼の姿はもうどこにもいなかった。



「期待してる!だから第二クォーター頑張ってよね!」



とわたしも強気で望月くんに返したんだ。


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