私があなたを好きな理由
あれから私は彼のネクタイ係...いや、お世話係として定着してしまった。
「いい加減自分で結べるように努力しないの...?」
「俺、無駄な時間は過ごさない主義なんだ~」
笑いながらそう言われたときは、少しムカついてネクタイをきつくしてしまった。
「私が休んだらどうするの...」
「え、休まないでよ。
ネクタイ結べないんだよ?俺」
「だから結べるようになってって言ってるじゃん!」
何度このやり取りをしたか、覚えていないけれど、確かに記憶しているのは私が2学期の終業式を休んだこと。
あの日は高熱が続いて休んだけど、終業式の日は智樹のネクタイが気がかりだった。
誰か結んであげたのかな。
誰かに結んでもらってたのかな。
...女子に結んでもらってたのかな。
ずっとそんなことを考えて、最後なんてどうでもいいはずなのに、頭のなかでぐるぐる回っていた。