私があなたを好きな理由


「あー、もうネクタイ無理!」


中2の全校集会、ネクタイが嫌でわざと忘れていったら学校用のを着けさせられた。

こうなるなら遅刻してでも家でしてくればよかった。

友達にはバカにされるし、今日はついてない。


「...貸して、やるから。」


そういって俺からネクタイをとると、自分の首に通して結び始めた。

綺麗に形になったネクタイを緩めて首からはずすと、俺に渡してきた。


「はい、あとは首に通してきつくするだけだから。」

「ありがと、えっと...」

「山口 麻結。
麻結でいいよ。」

「麻結、ありがとう。
俺、石屋 智樹。」

「どういたしまして。
早く並んでね。」


いま思えば、これが世に言う一目惚れってヤツなんだろう。

恋なんてしたことない俺でもわかったよ。




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