私があなたを好きな理由
あれから、麻結と話すようになって、もっと好きになった。
言い方はきついけど、誰よりも優しい。
クラスのみんなのためにいつも動いてくれる。
俺、見る目あるじゃんって思った。
だから、少しでも麻結のよこにいれる男になるために、ネクタイの練習も頑張った。
でも、学校では結ばなかった。
「いい加減、自分で結べるようになってよ。」
文句を言いながら麻結は俺のネクタイを結んでくれるから。
この時間だけは、二人のものだと思えたから。
麻結は嫌なぐらい鈍感で、自分でも周りにばれるぐらいアピールしてるつもりなのに、まったく気づいてくれない。
気付かれて、避けられるよりはマシだと思った。
でも、自分で動かないくせにワガママだと誰かが心のなかで囁いた。