私があなたを好きな理由
「今日も山口は休みだな~」
担任ののんきな声をよそに、みんなの視線が突き刺さる。
そう、今日は2学期の終業式。
ネクタイ係が必要な日。
「石屋くん、ネクタイ結ぼうか...?」
「あ、私得意だからやるよ!」
女の子が俺の周りに集まって、ネクタイを取ろうとする。
「石屋」
低めの声で呼ばれ振り向くと、委員長が腕組みをしていた。
「お前、ネクタイ結べるだろう。
麻結がいない日ぐらい自分で結びなさいよ!」
「え」
なんで委員長がそれを知ってるんだ...?
だって、誰にも言っていないから。
「えー、石屋くんやっぱりネクタイ結べたのか!」
「てかあっさり引っ掛かっちゃったね。」
周りにいた女子が口々に言い出す。
え、そんなモロバレでしたか...?