私があなたを好きな理由
「やっぱり私たちが一番乗りだね。」
「...そうだな。」
ネクタイの入ってるポケットを握り締める。
心なしか、手は震えていた。
「麻結」
「なんでそんなに緊張してるの。
可笑しすぎ。」
この制服で、この学校で、麻結に会えるのが最後だと思うとたまらなく寂しい。
震える声と体を落ち着かせ、ネクタイを出す。
「麻結、俺は、麻結のことが好きだ。」
麻結にネクタイを手渡す。
震え、止まれ。
「ずっと嘘ついてた。
麻結に近くにいてもらいたくて。
...本当は、ネクタイ結べるんだ。
だから
「知ってるよ。
でも、私が結んだ方が綺麗。」
麻結は微笑みながら俺の首にネクタイを通し、結んでいく。
「私も、智樹が好き。
これからも、ネクタイは私が結ぶから。」
最後にキュッと音をたててネクタイを締める。