私があなたを好きな理由
≪次は 白楠(ハクナン)高校
お降りの方は お知らせ願います≫
誰かが押したチャイムの音で気付き、定期を手に持つ。
バスが止まり、同じ制服を着た高校生がたくさん降りる。
「すいません、降ります。」
私の声が小さかったのか、彼女たちがうるさかったのか、横に立っていた関陵生は退く気配も見せなかった。
『降りる方いらっしゃいますか。』
運転手さんの声に思わず焦ってしまう。
「すいません、降ります!」
そう言ったのは私でもなく、他の白楠生でもない。
「お前らバスで喋るぐらいなら降りて歩きながら喋れよ。」
隣の関陵生だった。
隣の彼に言われて気付いたのか、気まずそうな顔をして彼女たちは退いてくれた。
「ありがとうございます...」
お礼を言ったのが聞こえてなかったのか、彼はまた座り、そのまま寝てしまった。
───これが彼との出逢いだった。