私があなたを好きな理由
──彼との再会、5月
入学式も終わり、高校生活が始まって約1ヶ月。
中間テストに向けて学校近くの図書館に来たとき、彼に再会した。
あのときより髪が短くなってる。
今の短髪の方が似合ってるな。
思わずじっと見てしまい、彼の眼が私を映す。
「...!」
彼の視線に耐えられず、荷物を置いて本棚に逃げる。
観察するのは好きだけど、されるのは好きじゃない。
他人の視線が自分を向いていると思うと、身体中がムズムズして、いてもたってもいられなくなる。
だから、人間観察をするときは気付かれないようにするのが自分の中でのルールだったのに。
彼は、彼だけは
視線をそらすことができない。