私があなたを好きな理由


「...一緒に帰らない?」

「...え、あ、はい。」


思わず返事をしてしまうと彼は嬉しそうに片付けを始めてしまった。




「俺、片桐 梓(カタギリ アズサ)って言います。
関陵高校2年生です。」

「あ、先輩だったんですか!?」


入学式の日にバスに乗ってるから同い年だと思ってた。

そんな私の考えを見透かしたように「関陵は入学式が白楠より早いからね。」と笑顔で返された。


「名前、聞いてもいい?」

「あ、白楠高校1年の秋井 希歩(アキイ キホ)です。」

「秋井さん、この前バスで一緒だったよね?」

「覚えてたんですかっ!?」


思わぬ質問に声が裏返り、片桐先輩に笑われる。

笑ったときにできるえくぼが可愛かった。


「ああいう常識のない子たちには大きい声で言うしかないからね。
次からはもっと大きな声が出せるようにしなくちゃね。」

「そうですよね。頑張ります!」


意気込んだ私が面白かったのか、先輩はクスクス笑っていた。


< 37 / 39 >

この作品をシェア

pagetop