空に想う

｢今日体調どない？熱測った？｣

ご飯を食べながら聞いてくるのは11年前の12月27日。
あの公園で衰弱していた私を見つけて看病し、養子として引き取ってくれた命の恩人であり父親であり唯一の家族の郁斗(イクト)。
当時21歳だった郁斗は医療の学校へ通っていて、私を見つけたあの日就職予定の病院を見に来て道に迷ってあの公園で少し休もうと寄ったところ私を見つけたそうだ。
私は1人残されてからの記憶が全くなく、どうやって1人になってから3日間を過ごしたのか、何を思いながらあの『ハハオヤ』を待ち続けたのか覚えていない。
気がつくと白い天井があって私のまだ小さかった右手を郁斗の温かい両手が強く強く握りしめていてくれていた。