こちら、私の彼氏です
悩ましい
「はあ……」

思わず、ため息がこぼれる。


私の手元には、さっき部長から配られた、『今季定期預金キャンペーン全店個人取得における上位成績一覧』というもの。
……うちの銀行で先日まで行われていた定期預金のキャンペーンにて、より多くの契約を結んだ社員の名前が数人、この一覧表に載っている。


名前が載っているのはすべて営業課の男性で、私も含め、女性社員の名前は載っていない。
今回は割といい成績を収めたと自信あったんだけどな、と思いながらも、やはり男性には敵わなかったか、と思う。
もちろん、女性だからって男性に負けたくないっていう気持ちはあるのだけれど、次こそはやってやるぞという前向きな気持ちもあった。


……それよりも悩ましいのは。




「伊山、すごいなー。その若さで全店二位なんて!」

「いや、たまたま運がよかったんですよ」


……後方から聞こえる、部長と同期の会話に、私は眉根を寄せた。



……入社五年目で全店二位の成績って、お世辞抜きでほんとにすごいと思う。


伊山 早太(いやま そうた)は私の同期で、営業成績は常にトップクラスの、間違いなく若手のエースだ。

明るくて物怖じしないハキハキとした性格で上司からもすごく気に入られている。
また、顔もいわゆるイケメンで、体格もよく……女性社員からの人気も高い。



……自慢の同期だね、なんてほかの社員の人たちにはよく言われる、けど。


自慢? とんでもない。
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