こちら、私の彼氏です
「福島さんは、伊山さんのどこが好きなの?」

「えっ」

伊山に気を取られていたら、今度は弘樹さんが私にそう尋ねてきた。



「い、いえ。私は恥ずかしいから……」

「えー! 伊山さんは言ってくれたんだしゆうちゃんも教えてよー! 聞きたーい!」

愛理が不満そうに、身を乗り出して私にそう言う。

……確かに、この流れで言わない方が不自然かもしれないけど……。


いろいろ動揺して、私はとっさにうまいことが言えなくてーー……。



「私も……彼の仕事できるとこ、が……好き……。


もともと仕事できる男性が好きなタイプだったから……。



付き合い始めたのは最近だけど、入社した時からずっと素敵な人だとは思ってた……」



……あれ? こんなの、ウソだよね? 愛理をごまかすためのウソだよね……?

でも、こうしてとっさに飛び出た言葉は、さっき伊山に対して感じたのと同じように……もしかしたら本音もあるんじゃって思って……。



……そうだよ。少しは、本音だった。

私、伊山の仕事できるところ、本当はまだ少し、異性として意識してるんだ。
< 21 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop