こちら、私の彼氏です
「はーい! じゃあそろそろ下ネタターイム!」

それからしばらくして。さらにいい感じに仕上がってしまった愛理が楽しそうに言った。


……ぎくりとした。


「いや、愛理……今日はそれは……」

「ここからは下ネタどんどん振るから、それにも答えていってね!」

私の言葉を聞くことなく、愛理は盛り上がる。


……お酒が回ると、愛理はたまにこんな感じになる。
こんな感じというのは、下ネタを話したがるということで。愛理の酒グセなんだと思う。


ふたりきりとか、女子だけとか、せめてその場にいる異性が弘樹さんだけっていう時ならまだいいのだけれど、なかなかなレベルの下ネタも言ってくることもあるので、男性もそこにいる時はこのクセはやめてほしいなといつも思っていた。

……とくに今は。伊山といっしょにいる時に下ネタなんて、私が対応できない。

一応、愛理が酔っ払ったら下ネタ振ってくるかも、という予想はあったわけだけど、まさか伊山とそんな設定の打ち合わせまでできるわけなく、私は『この日は愛理が下ネタ振ってきませんように』とただただ願うだけだった。

結果、その願いはムダになったけど。



そんな私の心情に気づくことなく、愛理は続ける。


「じゃあー、まずゆうちゃんと伊山さんは、どんなエッチするの?」

「げほっ」

思わずむせてしまった。まあ、最初の質問としては、だいたい予想通りではあったけど。



「あ、あの、愛理。本当に、今日はこの話題やめよう。えと、そう、彼がね、下ネタ嫌いなの」
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