こちら、私の彼氏です
「ち、違うから! 別に性癖とかじゃなくて!」

「でも縛りプレイや目隠しプレイがどうのって」

「だ、だから違うって! そういうことをしたこともあるって愛理に学生時代に話しただけで、べつにそういうプレイが好きだっていう話じゃない!」

「したことはあるのかよ」

「や、その……! 元カレがちょっとしてみたいって……!」

……あ。
慌てて大きな声なんて出したら、今になってさっきのお酒が回ってきたのか、ちょっと頭がくらっとした。


……なんか、必死に否定するのもめんどくさくなってきた。いいや、開き直ってしまおう。



「……まあ、やるにはやったよ。なんていうか、若い頃というか、初めてエッチした頃って、なんかいろいろ試してみたくならなかった?」

私がそう言うと、伊山も「まあ、わかる」と答えた。


あ、伊山は下ネタ大丈夫な人かな?
いいや、続けてしまおう。


「でしょ? 私のこと性癖がどうのとか言うけど、伊山だって絶対そのくらいのことしたことあるでしょ?」

「まあ、あるな」

「ほらぁ」

「若干プライドの高そうなお前が彼氏にそんなことさせてるっていうのが意外だったんだよ」

「私だって、好きな人の前では従順だよ」

「マジで?」

「どうかな」

「どっちだよ」

伊山はハハッと笑った。


「伊山は週五でヤりたいエロエロ野郎だもんね。もっとハードなプレイも余裕でしてそう」

「バカ。週五でヤりたいってだけで週五でヤってるとは言ってないだろ。男は大抵エロいんだよ」

「あはは」


私も、自然と笑った。久しぶりに、心の底から笑えた気がした。


それもあるけど、なにより……



伊山と数年ぶりに、普通に話せてるや。
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