こちら、私の彼氏です
「じゃあ、とりあえずこれ、試着してみる」
私はそう言って、愛理の持っていた服の中から一着選んで、ハンガーごとその服を受け取った。
普段はあまり着ない、かわいらしさを前面に出したワンピースだった。
白のふんわりとした素材の生地に花柄が散りばめられていて、腕の部分が透けている。
「でも、よかったよ」
試着室のカーテンの向こうで、愛理のなにやらうれしそうにそう言う声が聞こえた。
「うれしいって、なにが?」
「だって、先週の金曜日に私たち四人で飲んだ時、ゆうちゃんいまいち楽しそうじゃなく見えたんだよね」
「え」
ウ、ウソ。もしかして、本当は伊山が彼氏じゃないこと、バレてた? と、ぎくりとしたけど。
「だからね、もしかしたら伊山さんって、やさしそうに見えて実は嫌なところも多い彼氏さんなのかなって不安に思ってたからさ」
「あ、そっちか……」
「え? そっち?」
「い、いや、なんでもない」
私は慌ててごまかした。バレないように気をつけないとって、さっきも思ったのに。
……でも、それより。
「……心配してくれてたんだね。ありがと」
愛理は、いろいろ思うところもあるけど、こうやっていつも私のことを気にかけてくれている。
だから私も、愛理に困らされることもあるけど、愛理から離れていくことはできないんだ。
「ううん。じゃあ、伊山さんは本当に嫌な人じゃない?」
「嫌な人じゃないよ。むしろいい人だよ」
私は愛理にそう答え、カーテンを開けた。
「かわいい! いいよそれ!」
「そ、そう?」
愛理が私を見ながら、何度も「いいよ、似合ってるよ」と言ってくれる。愛理はいつも私を気にかけてくれるけど、ウソやお世辞を言うタイプでもない。
私はそう言って、愛理の持っていた服の中から一着選んで、ハンガーごとその服を受け取った。
普段はあまり着ない、かわいらしさを前面に出したワンピースだった。
白のふんわりとした素材の生地に花柄が散りばめられていて、腕の部分が透けている。
「でも、よかったよ」
試着室のカーテンの向こうで、愛理のなにやらうれしそうにそう言う声が聞こえた。
「うれしいって、なにが?」
「だって、先週の金曜日に私たち四人で飲んだ時、ゆうちゃんいまいち楽しそうじゃなく見えたんだよね」
「え」
ウ、ウソ。もしかして、本当は伊山が彼氏じゃないこと、バレてた? と、ぎくりとしたけど。
「だからね、もしかしたら伊山さんって、やさしそうに見えて実は嫌なところも多い彼氏さんなのかなって不安に思ってたからさ」
「あ、そっちか……」
「え? そっち?」
「い、いや、なんでもない」
私は慌ててごまかした。バレないように気をつけないとって、さっきも思ったのに。
……でも、それより。
「……心配してくれてたんだね。ありがと」
愛理は、いろいろ思うところもあるけど、こうやっていつも私のことを気にかけてくれている。
だから私も、愛理に困らされることもあるけど、愛理から離れていくことはできないんだ。
「ううん。じゃあ、伊山さんは本当に嫌な人じゃない?」
「嫌な人じゃないよ。むしろいい人だよ」
私は愛理にそう答え、カーテンを開けた。
「かわいい! いいよそれ!」
「そ、そう?」
愛理が私を見ながら、何度も「いいよ、似合ってるよ」と言ってくれる。愛理はいつも私を気にかけてくれるけど、ウソやお世辞を言うタイプでもない。