こちら、私の彼氏です
慣れた手つきで服を脱がされ、伊山も自分のワイシャツを床に脱ぎ捨て、上半身裸になった。


学生時代はずっと水泳をやっていて、社会人になってからはフリークライミングが趣味になったと以前飲み会で話していた伊山は、筋肉質なとても男性らしい身体をしていた。
普段から、伊山は体格がいいと女性社員の人たちからたくさん言われているけど、スーツを脱ぐとそれが特によくわかった。

腹筋もすごくて、腕の筋肉も引き締まっていて……体つきまで私の好みだ、なんて思ってしまった。



すると伊山は、「あ」となにかを思い出したように、いったん私から離れ、ベッドの下に右手を伸ばした。



「なに……? あ、ゴム? それならあっちのサイドテーブルに……」

「いや」

体勢を戻した伊山の右手には、さっき伊山が外していた、伊山のネクタイがあった。



……ちょっと、嫌な予感がした。




「あの……伊山さん? それでなにをするんですか?」

「お前、縛られるのとか好きって言ってたからやってやろうかと」


やっぱりか‼︎ やっぱりそういうことか‼︎



「やだやだ‼︎ べつに好きとかじゃないし!」

「でも嫌いじゃないんだろ?」

「そういうのは彼氏とのエッチがマンネリ化した時とかでいいというか……! 少なくとも今じゃなくていいというか! あっ」


抵抗してみたけどそれもむなしく、私は伊山に両手をあっさり掴まれ、両手首をネクタイで縛られた。
さらにそのネクタイの端を、枕もとのベッドサイドテーブルの上に置かれたスタンドライトの支柱につながれてしまった。

……私は、バンザイをしたような格好で身動きがとれなくなってしまった……。やだやだこんな格好、本当に恥ずかしいんですけど……!


ていうかなんで拘束までこんなに手馴れてるんだよ!この前は、こんなことそんなにやったことはないみたいな言い方してたのに!
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