こちら、私の彼氏です
「腕、痛いとことかないか?」
行為が終わって、ベッドの中で横になっていると、ふと、伊山が私の右手首をやさしく掴んでそんなことを聞いた。
「心配するくらいなら縛らないでよね」
「いや、俺はお前の制欲を満たしてやろうと思ってだな」
「ウソだね。自分もちょっとやってみたかったんでしょ」
「まぁな」
「まったく……。
……大丈夫だよ。ただのネクタイだし」
私がそう答えると、伊山は「そうか」と返し、私の手首をそっと撫でた。
……たった今、身体を重ねていたというのに、手首に触れられただけで胸がこんなにときめいてしまって、私はどこかおかしいのかもしれない。よっぽど重症なのかもしれない。
でも……もしかしたら伊山も私の気持ちに答えてくれるのかもしれないって思ったから、ときめくのは仕方ないよね。
……さっきの告白の返事、ちゃんと聞こうかな、そう思った、その時。
「やっぱ女性も、酔うとヤりたくなるもんなんだな」
……ん?
「なに? どういうこと?」
「え? だってお前から誘ってきたから」
「そ、それはそうだけど」
「酔っ払って、したくなったんだろ?」
「え⁉︎」
なに、どういうこと⁉︎ 単に酔った勢いでエッチに誘ったと思われてる⁉︎
「ち、違うよ! そうじゃなくて……!」
「ん?」
「す、好きだって言ったじゃん……!」
おそらく本日最大の熱を帯びた顔を伊山に向けながら伊山にそう伝えると、伊山はぽかんとした表情を私に向けた。