こちら、私の彼氏です
いろいろ考えたけど、やっぱり愛理と連絡をとりたい。
でも、自分から連絡する勇気はどうしても出ないので、私は弘樹さんに電話をかけてみることにした。
お昼休み、食堂に向かう前、ひと気のない廊下の隅で弘樹さんに電話をかけた。弘樹さんのLINEのIDも、弘樹さんのSNS同様、愛理づてに知っていた。
電話の向こうでは、無機質な呼び出し音が規則正しく聞こえる。
弘樹さん、電話に気づいてくれるかな。この時間なら、確か弘樹さんもお昼休みだったはずだけど。
すると。
『はい、もしもし』
五コールめで、弘樹さんが通話に出てくれた。
「も、もしもしこんにちは。福島です」
『こんにちは。どうかした?』
弘樹さんの声はやさしくて、いかにも年上の男性という穏やかな感じで。いつも通りのその声色に、なんだか少しは、安心した。
「あ、あの……その、愛理……の様子……を知りたくて……」
『様子?』
「は、はい。今、その、ケンカというか……気まずい状態で、自分から愛理に連絡を取りづらくて……」
私がそう言うと、弘樹さんはやっぱりやさしい声で「そうか」と答えて。
『どうりで最近、愛理の口から夕香ちゃんの名前が出ないと思ったよ。いつもはこれでもかってくらい毎日夕香ちゃんの話をするのに』
「そう、なんですか……」
『なんでケンカしたの? 愛理は話さなくて』
「えと……」
愛理との関係を弘樹さんに相談するために電話したのだから、愛理となんで気まずくなっているのかは話さなきゃいけない。
でも、なんとなくすぐには話し始めづらくて、私はつい、
「……沖縄は……?」
と、話を逸らしてしまった。
でも、自分から連絡する勇気はどうしても出ないので、私は弘樹さんに電話をかけてみることにした。
お昼休み、食堂に向かう前、ひと気のない廊下の隅で弘樹さんに電話をかけた。弘樹さんのLINEのIDも、弘樹さんのSNS同様、愛理づてに知っていた。
電話の向こうでは、無機質な呼び出し音が規則正しく聞こえる。
弘樹さん、電話に気づいてくれるかな。この時間なら、確か弘樹さんもお昼休みだったはずだけど。
すると。
『はい、もしもし』
五コールめで、弘樹さんが通話に出てくれた。
「も、もしもしこんにちは。福島です」
『こんにちは。どうかした?』
弘樹さんの声はやさしくて、いかにも年上の男性という穏やかな感じで。いつも通りのその声色に、なんだか少しは、安心した。
「あ、あの……その、愛理……の様子……を知りたくて……」
『様子?』
「は、はい。今、その、ケンカというか……気まずい状態で、自分から愛理に連絡を取りづらくて……」
私がそう言うと、弘樹さんはやっぱりやさしい声で「そうか」と答えて。
『どうりで最近、愛理の口から夕香ちゃんの名前が出ないと思ったよ。いつもはこれでもかってくらい毎日夕香ちゃんの話をするのに』
「そう、なんですか……」
『なんでケンカしたの? 愛理は話さなくて』
「えと……」
愛理との関係を弘樹さんに相談するために電話したのだから、愛理となんで気まずくなっているのかは話さなきゃいけない。
でも、なんとなくすぐには話し始めづらくて、私はつい、
「……沖縄は……?」
と、話を逸らしてしまった。