こちら、私の彼氏です
「それで、なに話したの?」

私がそう聞くと、伊山はまた、頬をかいて。


「すごい勢いで問いつめられて、俺もなんて答えたらいいかわからなくなって、その、悪い、お前と本当は付き合っていないこと、話した」

「うん……まあその状況なら仕方ないよね……」

「そしたらもっと問い詰められそうになって、でも仕事中だからって言ったら、仕事終わったあとに家に来いって言われて。
ちょうどノー残業デーだったし、十九時にお前も来るって言うから、家の場所聞いて、おじゃまして。
それで、お前が来るまでの間、俺たちの関係というか、その……」

「私が告って伊山がフッたことも話したってことね」

「ああ……」

「いいよ、そんな気まずそうな顔しなくて。結果的には、もう愛理にウソつかなくていいからすっきりしてるし、そもそも私が巻きこんだウソだし」


その気持ちは本当だった。ウソがウソだとバレて、だけどむしろすっきりした気持ちだった。

好きな人にはーー愛理には、ウソはつきたくなかったということだ。そしてその“好きな人”には、伊山も含まれるだろう。伊山にも、ウソの気持ちは伝えたくない。


「伊山、私……」


……それがたとえワガママでも、



もう大丈夫、私の告白は忘れて


なんて




言えなくて……。





「私、やっぱり、伊山が好き……っ」







緊張と恥ずかしさでうつむけていた顔を、ゆっくりと上げる。


伊山の驚いたような顔が見えて、かと思ったら伊山はすぐに真剣な表情になって。
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