こちら、私の彼氏です
「体調はどう?」


ある休日のこと。私は愛理の家におじゃましていた。弘樹さんは、私たちに気をつかって外に出てくれている。



「とくに問題ないよ〜。私も赤ちゃんも元気元気!」

「お腹、まだそんなに目立たないね」

「触るとちょっとぽっこりしてるかな」

「触っていい? あ、ほんとだ」

まだ春先なので、私も愛理も、普段着はまだ着込みが多い。厚い服の上からだとまだそんなに目立たないお腹も、本人の言う通り、触った感触から、愛理もお母さんになるんだな、と実感できた。



「元気な赤ちゃん産んでね。それにしても、ほんと幸せそうでいいなぁ」

ふとこぼれ出た、愛理の幸せを羨む気持ち。でも、前みたいな嫌な感情じゃなくて、素直に愛理の幸せを喜べる、そんな感情だった。


すると愛理は。


「ゆうちゃんは幸せじゃないの?」

「え? いや、幸せか不幸せかだと幸せだと思うけどね」

「そんな極論じゃなくて。伊山さんとその後、どうなの?」

「なにもないよ。なにかあれば愛理にはすぐ言うよ」

「うん……」



私だって、早く愛理にいい報告したい。
でも、伊山がなにも言ってくれない。キスもするし、エッチもする。実際は女性にいい加減な奴じゃないわけだし、伊山がそこまでの行為をするってことは、私のこと、まあそれなりによく思ってくれてるんだとは思う。



……でも、言葉にしてくれなきゃわからないよ。
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