ハイスペックガール
不愉快はこっちの台詞だよ。
「それで、なんで私をここへ?」
総長は私を見た後、パソコンを開いて私に見せてきた。
「君に関する情報はハッキングじゃ一切出てこない。
ハッキング能力も高いみたいだね。」
私が言ったこと、聞こえてたかな。
「そんなこと聞いてない。私をここへ連れて来た理由を聞いてるの」
私は半ギレだけど、あくまでも冷静に再び聞いた。
「否定しないってことは、君がバリアはってるんだね」
それがなんだっていうの?
私は呆れて、何も答えなかった。
「天龍には世界各地に有能なハッカーがいる。そいつらでさえ君の情報を手に入れることができなかった。
驚くべき才能だよ……。」
総長は立ち上がり、私の前に立って私を見下ろした。
「君を天龍のスパイとして使わせてもらう。それが連れて来た理由だよ。
スパイ以外の仕事もしてもらうけどね。その能力を使って。」
私をスパイにするのが目的だったの……?!
「断る」
私はふいっと顔を背けながら言うと総長の真顔の顔が目の前にあった。
鼻と鼻がぶつかりそうな距離だ。
「君、まだ状況を理解していないようだが…君が断ることによって両親がどうなるか……よく考えることだ」
さっきと口調が一転して、ものすごい迫力に圧倒された。
「…っ!どこに……」
「君の両親はアメリカにいるだろう。跡をつけさせてもらっている。
私の指図一つで命を落とす。」
総長の顔が私からゆっくり離れてドアへ向かって歩いていく。
「っ卑怯なことを……っ!」
「この世の中は卑怯なことだらけだ」